日本共産党の政権参画に向けた課題を分析する/上 時代状況に合わせて性格を変化させてきた現実適応力 田中信一郎 千葉商科大学基盤教育機構准教授 2021年1月、日本共産党は1922年の結党以来、政権参画にもっとも近い位置に立っている。その背景にあるのが、野党共闘の進展による野党ブロックの形成である。2020年1月の第28回同党大会で、当時の立憲民主党・安住淳国会対策委員長や国民民主党・平野博文幹事長、無所属の中村喜四郎衆議院議員ら野党の幹部やキーパーソンが挨拶したことは、その象徴であろう。 そこで、本稿では同党の綱領等の基本文書を読み解き、政権参画の課題を分析する。対象とする基本文書は、同大会で改定された「綱領」と採択された当面の活動方針である「第一決議(政治任務)」「第二決議(党建設)」に加え、党規約である。共産党は、他党に比べて文書を詳細に作成し、それを忠実に実行する組織文化があるといわ