広岡浅子はNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』のヒロインのモデルとなった人物です。浅子の周囲にどのような人々がいたのかを知っておくことで、彼女についての理解がより深まることでしょう。 そんなわけで、浅子の身近な人物たちにスポットを当てる特集の第一回目。今回は「浅子の家族」をご紹介します。 一八四一(天保一二)年 〜一九〇四(明治三七)年 浅子の夫で、最大の理解者。大坂の豪商・八代目加島屋かじまや久右衛門きゅうえもん正饒まさあつの次男として生まれ、隣接する分家・加島屋五兵衛ごへえ家の当主となります。この加島屋五兵衛家は、代々小石川こいしかわ三井家から妻を娶めとっており(「重縁」といいます)、そのしきたり通りに小石川三井家から一人の女性が嫁いできます。それが浅子でした。 二人の結婚は互いが物心もつかないうちに決められていたとはいえ、二人の仲は非常によかったそうで、浅子が学問をする時には信五郎