IT業界の古株の人と酒を飲むと、必ず「日本のIT業界はなぜこんなに情けなくなってしまったのか」という話になる。世界を席巻するような製品やサービスを生み出せず、受託開発などの“御用聞き”ビジネスに明け暮れている日本のITベンダーの現状を誰もが憂えているのだ。 社会に出た頃には既に、日本のIT業界は今のような状態だった若い世代の人には、古参の業界人の嘆き、あるいは悲憤慷慨はあまり理解できないだろう。彼らがいつと比較して現状を憂えているのかと言えば、メインフレームの時代とである。先回りして言っておくと、古参の業界人の話には「思い出の美化」効果が含まれている。私から言わせれば、日本のITベンダーはメインフレーム時代から、大したことはなかったからだ。 1980年代までのメインフレーム全盛の時代は「モノ売り」「ハコ売り」の時代だった。高額のメインフレームを売るだけで、ビジネスとしては十分だった。それこ
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