日銀が7月下旬に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2016年度の物価上昇率見通しを引き下げる方向で検討していると報じられた。一方で、日銀の資金供給が増えても物価が上がらないとして、金融緩和の限界論も主張されている。物価が上がらないのは日銀の緩和が限界だからなのか、緩和が足りないからなのか。 中央銀行の責務は物価の安定である。物価と失業率には一定の逆相関があるので、物価の安定を責務とする以上、雇用の確保も責務となる。欧米では常識であり、この意味で中央銀行は「物価の安定」と「雇用の確保」を究極の目的としている政府機関だといえる。 物価が上がらないことで金融政策が限界だという主張があるが、雇用はどうなっているのだろうか。実は、雇用の代表的指標である失業率には下限があり、構造失業率といわれる。いくら雇用環境が良くなっても、転職などの際に生じる摩擦的な失業はゼロにならず、それが失業
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