常識や固定観念に縛られない自由な発想は、ビジネスで成功するために重要な要素だ。マニュアル通りに仕事を進めれば、負けは少なくなるかもしれないが、大きな勝ちが転がり込んでくることも少ない。この常識やマニュアルを、囲碁の世界では「定石」と言う。この言葉は既に一般用語になり、多くの人々が様々な場面で用いている。 「定石は覚えて忘れろ」という囲碁の格言がある。 定石は、物事の基本を知るという点では大事だが、一度基本を覚えたら、それに縛られることなく、自由な発想で碁を打つことが重要、といった意味だ。初心者のうちは定石が碁を上達させるうえで基本的にプラスに働くが、かといって定石に縛られると、自由な発想を失ってしまうマイナスもある。ある程度の技量が身についたら、定石をあえて忘れることがさらなる成長につながる。 英治出版社長の原田英治は、「定石を覚えて忘れろ」を出版社経営で実践する。前回紹介したように、出版