SF作家・山本弘のblogです。小説・アニメ・特撮・マンガから時事問題にいたるまで、いろんな話題を取り上げていきます。 HPはこちら。 山本弘のSF秘密基地 http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/ 「俺を夢見ていた男は、現実には何もできない意気地なしだった」魅祐姫たちに逆に縛り上げられた城主は、泣きながら告白する。「女にもてなくて、出世にも縁がなくて、いつも心の中で社会を恨んでいた。だが、実際には誰一人傷つけることができなくて、妄想の中でうさを晴らすだけだった。あいつは小さな罪ひとつ犯すことなく、愚痴ひとつこぼさず、善人を演じきって世を去った。空しい人生だった。俺はせめて、この世界であいつの夢を実現してやりたかったんだ」 魅祐姫は「それは違う」と言う。 「現実には誰も傷つけなかったのなら、その人は本当に善人だったのよ。きっとその人は、本当に女の子を