演出・ストーリーについて 個人的な好みもあるが、7話、8話あたりから大化けした印象が強い。そこから最終回まで、各話それぞれに異なる見どころや味わい深さがあった。 この手の作品に有りがちな「主人公補正」が一切無く、あくまでも吹奏楽部という組織の一員として主人公を描いていたのが新しいと思った。例えば他の作品なら、新人特有の柔軟な発想で危機を乗り越えるとか、主人公の行動がきっかけとなって部の雰囲気が変わっていったとかいう感じで、主人公にはある程度の活躍の場が設けられている。しかし本作の主人公・久美子は終始、吹奏楽部という組織の中で流され、振り回され、苦悩する一人の部員として描かれていた。 部員の数だけ頭の中に思い描く理想の部活像があり、一人ひとり部活に対する考え方も能力も性格も違っている以上、全員が納得できるルールや方針を作ることは不可能だし、摩擦や不満が生じるのは避けられない。例えば、第2話で