日本版NSC(国家安全保障会議)法案がまとまった。かねて産経や読売が本件を大きく報道してきたのは大災害や安全保障上の危機などに際して国の司令塔機能が不明確、不完全であることを憂慮していたからにほかなるまい。 その意味では妥当な構想が出てきたと歓迎するが、この仏に魂を入れて実用に耐えるものにすることは容易ではない。 アルジェリアで日揮社員らがテロで痛ましい犠牲となった事件後、中西寛・京大教授がこう書いている。「日本版NSCの下に、現状では政府の中で分散している情報を一元化し、官邸主導で対策を決めるという方針は美しく見える」(2月17日付毎日)。しかし、本家の米国でも冷戦後の多様な脅威にうまく対応できていないし、日本と同じ議院内閣制の英国では、「形式的な会議を増やしただけで有効に機能していないという評価が強い」(同)。 米国では2001年の9・11中枢同時テロの直後、大統領行政命令一発で国内国