『イラク戦争のアメリカ(The Assassin’s Gate: America in Iraq)』(2005年)や『綻びゆくアメリカ(The Unwinding: An Inner History of the New America)』(2013年)を著したジョージ・パッカーが近著『最後にして最善の希望(Last Best Hope: America in Crisis and Renewal)』(2021年)において描くアメリカは、交差することのない4つのアメリカの姿だ。近年、アメリカにおいて対立が描かれる時、それは保守とリベラルの対立として描かれてきた。そこには明確な対立があった。しかし、パッカーの描くアメリカは、すれ違うアメリカだ1。 保守とリベラルの対立は、「ありうべきアメリカの姿」をめぐる対立だった。それは、アメリカのあるべき本来の姿をめぐる対立であり、エリック・フォーナーは