カメラマン福田直樹は、リングサイドで集中力を高めていた。 11月7日、さいたまスーパーアリーナ。ボクシングWBSSバンタム級決勝、井上尚弥対ノニト・ドネア戦が始まろうとしていた。 通常福田がリングサイドで試合を撮るときには、1ラウンドは両選手の相性や調子を見て、2ラウンド以降に本格的に撮ることが多い。だがこと井上に関しては違う。 「初回から何があるかわからないので、撮るほうも早くからエンジンをかけないといけない。逆に最初から全力で撮れるとも言えます」 福田はボクシング編集者、ライターを経てカメラマンに転身。渡米してキャリアを積んだ。2008年から権威あるボクシング雑誌、リング誌のメインカメラマンを8年務め、全米ボクシング記者協会最優秀写真賞を4度受賞している。 無駄なものが1つもない完璧な選手。 いわば世界最高峰のボクシングカメラマンである福田をして、井上はかつて見たことがない選手なのだと
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