ハンチントンの『文明の衝突』は1996年に刊行されて大きな衝撃を与えた。日本でも翻訳が2年後に出版され話題となったが、今年、文庫化されたので改めて熟読した。20年ほど前に出たものだが、今日の世界状況を鋭く予言しているように思われる。「文明の衝突」というべき事態が頻発しているからだ。そして、今後の世界も趨勢(すうせい)としてはこの方向で展開していくに違いない。 栄光を保持する意志はあるか この本では、世界の主たる文明を8つとしたことが注目された。即(すなわ)ち、西欧、中華、日本、イスラム、ヒンドゥー、スラブ、ラテンアメリカ、アフリカである。重要なのは、日本文明が単独で1つの文明とされたことだ。ハンチントンは「文明の衝突」という観点からいうと、日本にとって重要な2つの問題が出てくるという。 1つは、「日本は独自の文明をもつかどうかという疑問をかきたてたことである。オズワルド・シュペングラーを含
![【正論】今こそ「海ゆかば」の精神を 断絶された日本文明の歴史を回復するには必須だ 文芸評論家、都留文科大学教授・新保祐司(1/2ページ)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8461b02561c1bdc18756703e4bbea8b71e36a8cb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FgMLnPwZ4Wa2_pDDSf4jx-BhLqF8%3D%2F1200x630%2Fsmart%2Ffilters%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2FKSL7RPYQU5KWZNIV5GMM3DHSBQ.jpg)