著: 小野洋平/やじろべえ 僕が生まれ育ったのは、埼玉県桶川市。埼玉一の繁華街「大宮」と、日本一の暑さを誇る「熊谷」の間に位置している。 7年前に離れるまで、約20年近く暮らした街。人生の大半を過ごした「ふるさと」を、僕は久しく訪れていない。べつに地元が嫌いなわけじゃない。むしろ、今まで住んだどの街よりも愛着を抱いている。それでも足が向かなかったのは、僕ら家族が地元を離れざるを得なくなった「ある出来事」を思い出し、負の感情にさいなまれそうだったから。 しかし、風の便りに聞く桶川の変化は、いつも気になってはいた。意を決し、ふるさとの街へ帰ってみることにした。 ◆ 桶川駅はJR高崎線のなかではわりと利用者数の多い駅だ。僕が小5のときに湘南新宿ラインが、2015年には上野東京ラインが開業し、池袋・新宿・東京など都心の主要駅にもダイレクトでアクセスできるようになった。特に、上野東京ラインができてか