本展はこれまでのICCの活動の集積として、メディア・アート作品十数点などを無料で展示する企画である。 何よりもぜひ一度体験してほしいのが、階段を上がって右手の一室に設置された佐藤雅彦+桐山孝司による《計算の庭》(2007)だ。「だんご三兄弟」やテレビ番組「ピタゴラスイッチ」などで世間の注目を集めてきた佐藤の今回のアイディアは、なんと人が「数」の身になって「計算される」こと。 この庭に入る前に、参加者はまず数字が書かれたICチップ入りの札を一つ選び、それを身につけなければならない。庭の各所には「-4」「×7」「+8」「÷2」などと書かれたゲートが設置されており、私たちはそれを通過するごとに自動的に「計算」される。そしてゲートをくぐり、何回かの計算を経て最終的に自分の数が「73」になれば、「=73」と記された出口から庭の外に出ることができる。制作者のことばによれば、本作品は計算という抽象的な行