昨年の夏ごろから急にメディアをにぎわわせるようになったケータイ小説。ひとつのキッカケは、二〇〇七年上半期のベストセラーランキング「単行本・文芸」部門の上位をケータイ小説(を印刷した書籍)が占めたことだろうか。このブームは昨年末まで続き、年間ベストセラー「単行本・文芸」部門でも、ベスト3をケータイ小説が独占する結果になった。 というわけで、このところ、書店の新書コーナーでもケータイ小説の謎に挑んだ本が目立つ。本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』、杉浦由美子『ケータイ小説のリアル』、吉田悟美一『ケータイ小説がウケる理由』、伊東寿朗『ケータイ小説活字革命論』。似たようなタイトルの本が立て続けに出版されるのは、ブームが終息へ向かっている証拠かもしれない。少女の間でひそかに消費されていた商品が大人の社会で認知度を上げ、寄ってたかっての分析がはじまる。まるで八〇年代末の吉本(よしもと)ばななブームの