舞台を観るのにこんなに緊張したのは、国立劇場の勉強会で芝のぶさんのお嬢吉三を見た時以来かもしれない。 町娘でも女房でも赤姫でもない大役を、どのように演じるのだろう。そんな気持ちから、手に汗握る思いで客席に着いた。 冒頭、ラクシュミー神としての登場。太陽神に向ける台詞「そなた、若い娘と〜」の笑いを含んだ空気がとても良かった。 芝居が進み、「ちゃりん」という揚幕の音と共に、待ちに待った鶴妖朶様の登場となる。 貫禄漂う打掛姿、挑戦的な表情に台詞回し。ああ、ほんとうにあまり見たことのない芝のぶさんだ…と実感する。これまでのお役だと、濡衣やエナコが比較的近い役どころだろうか。 普段は控えることもお役目のひとつである役者が、通し役でずっと前に立ち、気配を消さないでいることがどれほどの胆力を要するか。想像するだけでこちらの胃まで痛くなる。 弟王子として隣に居てくれるのが気心の知れた猿弥さんだというのが、