音もなくスムーズに走行する「たま電気自動車」=横浜市西区の日産自動車グローバル本社で2010年9月7日午前9時すぎ、石井諭撮影 63年前に発売され、3年間で生産中止となったまぼろしの車「たま電気自動車」を、日産自動車が復元した。同社の電気自動車(EV)の原形ともいえるもので、倉庫で保管していた唯一の現物を技術者らが修繕し、走れるようにした。 たま電気自動車は、1966年に日産と合併したプリンス自動車の前身「立川飛行機」が47年に発売した。終戦後、ガソリン統制が厳しい中、苦肉の策で開発。誕生の地(東京都北多摩郡府中町、現・府中市)にちなんで命名された。石油供給が安定した50年まで生産され、タクシーなどに使われた。 木骨鉄板張りで、当時の仕様によると最高時速35キロ、一度の充電で65キロ走行できたという。「過去に放棄された技術も再び必要になることを示す重要な教材」として、日本機械学会の「機械遺