何かを選ぶということは、そのとき同時に何かを選ばないということに通じ、 何かを行うということは、そのとき同時に何かを行わないということに通ずる。 この、陳腐で当たり前の事実は、行動上の選択肢が少ない時にはあまり意識しなくて済んだかもしれないが、一個人の選択肢が多岐に渡る状況(例えばモラトリアムの時期にある現代青少年が直面している状況)ではとりわけ意識させられる。 選択肢が多岐に渡る状況における全選択は、「何かを選んだ」というよりはむしろ「取捨した」と表現するのが似つかわしく、「何もしない」ということさえも「何もしないということを為し、他の選択肢を握りつぶした」と捉えるのがより適切にみえる。このことに気づかぬ人は、「無思考・無決断のままに、望ましくもなければ望んでもいない決断を繰り返す」ことを余儀なくされ、なかには「怠惰」という選択で人生を埋め尽くしてしまう人もあるかもしれない。一方、このこ