地元のお客さんに愛されるパン屋みたいなバンドでありたい―。 今回のインタビューの中で、SPECIAL OTHERSの四人からふと出てきたのが、この言葉だ。考えてみれば、ほんの10~20年前は、日本の音楽シーンにはそんなバンドのあり方はほとんどあり得なかった。ステージに立つことはキラキラと輝くスポットライトを浴びることだったし、バンドを続けるというのはロックスターであり続けるということと、ほとんど同義だった。 でも、メジャーデビューから8年が経ち武道館でのワンマンライブを成功させた今も、SPECIAL OTHERSの四人はとても自然体だ。心地よく、楽しく、踊れる音楽を作り、それを演奏する。そうしてハッピーな空間を作り、そこに人が集まる。ジャムバンドとして登場した彼らは、「売れるためには―」と戦略を練って音楽性を変えるようなこともなく、人懐っこいフレーズとグルーヴ感あふれるリズムの魅力だけを追