2005年、カリブ海に浮かぶ小さな島国グレナダに中国政府から「プレゼント」が贈られた。建設費5500万ドルのクリケットスタジアムだ。 これは07年に開かれたクリケット・ワールドカップに向けて、中国がカリブ海諸国に提供した総額1億3200万ドルの援助や低金利融資の一部。当時は、対中関係を重視して台湾との公的関係を断ち切ったグレナダへの、気前のいい「ご褒美」と受け止められていた。 しかし、その後の中国の振る舞いをみると、スタジアム建設などちっぽけな話に思える。中国の政府と民間企業は、カリブ海諸国に大規模な観光施設を建て、道路や港湾を整備するために巨額を拠出。資金難に苦しむカリブ海諸国は「恩人」の好意に感謝する一方で、中国が見返りに何を求めているのか、いぶかっている。 「カリブ海のほぼすべての島が中国から巨額の投資を受けている」と、ロンドンを拠点にカリブ海諸国にコンサルティングを行うカリブ評議会