→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 これまで「フィリピンはスペインの植民地になったことから、カトリックの強い影響を受けた」とか、「日本占領下のフィリピンでは、住民はひじょうに苦しい生活を強いられた」とか、何度も書き、授業などでも話してきた。しかし、その実態は、充分に読者や学生・聴衆に理解してもらえなかっただろう、ということを本書を読んで再認識させられた。実際の日常生活を通して語られる歴史は、まさに「生きた」歴史を感じさせる。しかし、それを語ることはたやすいことではない。本書でそれが可能になったのは、優れたジャーナリストとなった息子や娘の存在が大きい。そして、その事実上の「編者」たちと長年交流をもっている訳者の日本人の読者に伝えようとした力も大きい。 本書は、帯にあるよう