毎日のように,「また三菱製の自動車が火災」というニュースが報じられている.統計学を教えている立場からすれば,いやそういう立場でなくても,まったくおかしな話である. 三菱自動車が欠陥を隠す等の不祥事で問題になったのは事実だが,欠陥が原因で火災が起きているのなら,欠陥はずっと前からあったわけだから,火災もずっと前から起きているはずである.欠陥が発覚したとたんに急に燃え出すなどということが,あるわけがない.それなのに「三菱車また火災」というニュースを聞いて「やはり三菱車は危険」という印象を受けてしまうのは,「自動車が燃える」という事件には日常あまり遭遇しないからだ. しかし,それは自分のまわりの狭い範囲を見たときの感覚であって1),日本全体では車両火災は1年間に8000件~10000件ほど起きている.つまり1日あたり20件以上だ.だから,1日に1件程度三菱車の火災が起きたからといって,三菱車の火