映画の魅力は細部に宿る。どうせ見るならより多くの発見を引き出し、よりお得に楽しみたい。「仕事と人生に効く 教養としての映画」(PHP研究所)の著者、映画研究者=批評家の伊藤弘了さんが、作品の隅々に目を凝らし、耳を澄ませて、その魅力を「よくばり」に読み解きます。 「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)は、最近劇場で見た映画のなかではピカイチのおもしろさだった。100人が見たら90人以上が「おもしろい!」と思うのではないだろうか。それくらいエンタメとしてよくできているのである。 「勝ち負けがすべてではない」エッセンス損ねずわかりやすくストーリーはいたってシンプルでわかりやすい。春アニメの「覇権」をめぐって二つの作品が視聴率を競い合い、その過程でアニメ制作に携わる登場人物たちの思惑や葛藤がぶつかりあって、見どころのある人間ドラマを生み出していく。まさに王道の展開だ。随所にユーモアを挟んで緩急をつけつ
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