ぼくは無宗教者であり、無神論者である。だがヴェイユがいう神という言葉に惹かれる。なぜだろう。 読書メーターで読友がシモーヌ・ヴェイユに触れていた。懐かしく思い読んでみることにした。『重力と恩寵』の感動が再び蘇る。 工学畑のぼくが哲学を好むようになったのは、シモーヌ・ヴェイユに惹かれることが大きかったからに違いない。 重力に逆らうことはできない。それならば重力に服従する生き方を発見するしかない。 しかしヴェイユは流されていくような生き方を選ばない。 だからだろう。シモーヌ・ヴェイユを初めて読んだとき、こんな苦難の途ばかりを選んでるんだろうって、不器用にすら思えたものだ。 ヴェイユの理想は共産主義。神が与え給う共産主義。それが実現できない理想であることもヴェイユは分っていた。 人間の多くが理想とは関係ない醜い生き物だと分っていたからだ。社会主義を標榜しながらナチス以上の残虐を露呈したソヴィエト
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