美しいメロディの上に美しい声で歌われる不思議な言葉の羅列。ほかの誰にも真似できない“陽水ワールド”だ。“ものぐさ”と“社交的”、相反する面をしなやかに行き来する井上陽水の音楽術に迫った伝説の企画を振り返る。第1回。※GOETHE2006年9月号掲載記事を再編。掲載されている情報等は雑誌発売当時の内容。【特集 レジェンドたちの仕事術】 中目黒の生花店にて。「せっかくですから、愛する人をテーマに花束をつくっていただきましょうか」。 日本一の「ステキ」の使い手 「皆さん、とてもステキな職業を選ばれましたねぇー。ご両親もさぞかしお喜びになっているんじゃないですか? 恋愛にも、有利に働くお仕事ですよね、きっと」 撮影で訪れた中目黒の生花店。 「ステキな職業」と言われ、ユリやバラを束ねる女性たちが、かすかに頬を赤くさせる。この「ステキ」という言葉の使い手として、井上陽水という人は日本一だろう。あの声の