一般的にいえば、ほとんどのシダ植物は食糧として適しているとはいえない。葉柄は木質化して硬いものが多いし、おまけに鱗片だらけである。葉もほとんどのものが紙質でかさかさしているし、有害物質をもつものもある。地下部の根茎も繊維質で硬くタンニンを含むものが多い。おまけに花が咲き果実が実ることもない。 そこで、このようなシダを好んで食べるような物好きな民族は日本人くらいなものだろうと思っている方がけっこういるが、そんなことはない。 調理法方に工夫を凝らして、さまざまなシダが世界各地で食べられてきた。 いくつかの、比較的よく知られたケースを取り上げてみる。 最も多くの民族によって食用されているものは、やはり汎世界的に分布するワラビ(Pteridium aquilinum) である。地下茎に多量に含まれる澱粉を救荒食として利用するのである。例えば、カナリヤ諸島では根茎を挽いた粉と大豆の割り挽きとを混ぜて