評論家の宇野常寛氏が、『ゼロ年代の想像力』以来3年ぶりに、単著の評論『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)を上梓した。2001年以降の世界を、表題にある「リトル・ピープルの時代」と位置づけ、それ以前の「ビック・ブラザーの時代」と峻別し、現代における想像力について、鋭く考察した注目の書である。村上春樹作品の分析にはじまり、日本のサブカルチャー分析を通して、これからの社会を変革するビジョンを構想する。刊行以来、インターネット上では既に大きな反響を呼んでいるが、宇野氏と、評論家の中森明夫氏に対談をしてもらった。 (「読書人」編集部) 「01年以降の想像力」 中森 宇野さんとは、3年前の夏、『ゼロ年代の想像力』(以下『ゼロ想』と略)が出た時に、青山ブックセンターで公開の対話をしたんですよね。評論の単著としては『リトル・ピープルの時代』が2冊目で、今度の本に3年間を費やした経緯から、お話しいただけます