2009年の1月15日、この衝撃的なニュースを聞いた時には、すぐに「これはきっとハリウッドが映画化するな」と思ったものです。しかし、まさかクリント・イーストウッド監督によってなされるとは想像の枠外でした。しかもこの映画、単なる“実話の映画化”を越えて、私たち観客の胸を打つ作品に仕上がっていたのです。 これが普通の監督ならば、たとえば乗員や乗客たちのドラマを群像劇風に描き、クライマックスに事故シーンを持ってくる実録再現ドラマ風に映画化するとか、機長のチェスリー・サレンバーグ(この映画の原題『Sully』は彼の通称“サリー”に基づいたもの)の一代記を描く英雄伝的なものになったのではないでしょうか。しかし、イーストウッドはそのどちらの方向にも行きませんでした。 物語はサリー(トム・ハンクス)の悪夢から幕を開けます。ニューヨークの空港を離陸直後に発生した事故によるエンジン緊急停止。近くの空港に向か
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