中世の代表的な山城で、織田信長軍の前に滅びた丹波市春日町の黒井城が、再び“落城”の危機に直面している。平成の敵はイノシシ。城跡の辺り一面を掘り返し、石垣を崩そうとしている。神出鬼没で戦国武将より手ごわく、手を焼く市教委は「悲劇を繰り返させない」と周辺を金網で囲み、侵入を防ぐ策に出た。 標高356メートルにある黒井城は、戦国時代に「丹波の赤鬼」の名で知られた反織田勢力の名将荻野(赤井)直正の居城で、激戦の末に攻め滅ぼされた。今は、本丸、二の丸、三の丸跡と石垣などが残るだけだが、戦国時代の山城の原形をとどめているのが貴重として1989年、国の史跡に指定された。ハイカーらが訪れる観光地となっている。 ところが、5年ほど前から夜間に出没するイノシシが敷地内を掘り返し始めた。餌のミミズなどを探すためらしいが、石垣の基礎部まで侵入。景観が損なわれる上、石垣崩壊の危険がでてきた。 苦慮した市教委は文化庁