◇1984年に出会った孫さんは、雑誌創刊の相談をした。それは驚くべきコンセプトであった。 孫正義 「お金の扱いに凄い奴」 1970年代は、まだ1960年代の世代意識が残っていて、その時代に活躍した人の多くは1960年代に日本で生まれた戦後カルチャーの匂いが残っていた。その匂いが消えた世代が登場してくるのは、80年をしばらくすぎてコンピュータという前世代が持っていなかった新しい装置が社会に広がってくる頃だ。 孫正義と会ったのは、1984年ぐらいの夏である。孫さんは、1981年に福岡県大野城市で「日本ソフトバンク」を設立し、やがて東京に出てきて、コンピュータ・ソフトのディストロビュータとして活躍し、メーカー機種ごとのコンピュータ雑誌を発行して、すでに業界の有名人であった。しかし、僕が会った頃は、慢性肝炎の大病を患っていて、軌道に乗りつつあった会社を、野村証券から日本警備保障(セコム)の副社長に