水族館劇場は、1987年に創設された野外劇の役者徒党である。彼らは劇場を自前で建てる。建てさせてくれる場所も自分たちで探す。昨年からは、東京世田谷区の太子堂八幡神社の境内がかりそめの根城だ。 今年の演目は、「Ninfa 嘆きの天使」(5月16日〜6月3日、公演終了)。境内には、階段状のしっかりした座席を備えたキャパ約120人の堂々たる劇場が組み上げられた。回り舞台が上手・下手に2つ。劇場のいたるところに30トンもの本水が仕込まれている。クライマックスでは大量の水が吹き上がり、轟々と落ちる。水とライトを浴びた役者が負けじと叫ぶ、そのシーンはまさにスペクタクル、壮大な見世物だ。 時代背景は明示されないが、確認できただけでも、古代、中世の日本、革命前夜のロシア、1960年代の網走、津軽、東京、そして現在の東京のどこか。物語は時空を超えてさすらう。もちろん観客も道連れである。貧しい生まれで両親に捨
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