牛乳、生クリーム、バターは、いずれもウシの乳からできていますが、姿形、味、食感がずいぶん違いますよね。この違いは、牛乳に含まれる「脂肪球」にあります。今回は、脂肪球に着目しながら、乳製品を科学してみましょう。 牛乳の中には数マイクロメートル(μm、1マイクロメートル =1000分の1ミリメートル)の脂肪球がただよって浮いています。脂肪球は表面を皮膜で保護されているために水分から分離せずに、水分の中でうまく安定しています。本来は水分と油分は相性が悪いのでドレッシングのように分離しますが、この分離は水分と油分とは極性という性質が大きく異なることが原因。極性の違う物質同士は反発し合うので、水分と油分に分離してしまうのです。では、牛乳はなぜ分離しないのでしょうか? 牛乳の中に含まれている脂肪球は、普通の植物油と異なり、非常に細かい粒子状になっています。そして、この粒子のまわりをリン脂質やたんぱく質