☆世界を変えるか・驚異の新素材カーボンナノチューブ 鋼鉄の数十倍の強さを持ち、いくら曲げても折れないほどしなやかで、薬品や高熱にも耐え、銀よりも電気を、ダイヤモンドよりも熱をよく伝える。コンピュータを今より数百倍高性能にし、エネルギー問題を解決する可能性まで秘めている……。そんな材料があると聞いたら、みなさんは信じられるでしょうか?その夢の新素材は日本で、ついでに言えば筆者の住むつくば市で発見されました。 1990年のC60の大量合成法発見により、90年代初頭の科学界はフラーレンブームに沸き返っていました。これは、炭素電極をアーク放電によって蒸発させると、陽極側にたまった「すす」にC60が大量に含まれているというものです。こうして各国の研究所がフル稼動でフラーレンを生産しようと躍起になっていたころ、世界でたったひとりだけ「陰極側」のすすを観察していた人物がいました。NEC基礎研究所の、飯島