「もてなしには人間の様々な考えが映し出される」。そう語るのは『饗宴外交』(世界文化社)の著者で毎日新聞外信部専門編集委員を務める西川恵さん。新聞社で長く国際政治に携わる西川さんは、宮中晩餐会や国賓晩餐会などの「饗宴」のメニューを通して外交を分析している。今回、西川さんに「饗宴」でのメニュー、そして外交との関わりについてお話を伺った。 --食を通して外交を分析するというのは独特の手法に感じます。 西川恵氏(以下西川氏):私が毎日新聞のパリ特派員だったとき、フランス大統領官邸のエリゼ宮では首脳会談後の食事会のメニューが記者に配られていました。メニューを見比べていると、首脳によってワインのレベルに差があることに気が付きました。それは偶然ではなく意図して提供するワインに差を出しており、明らかに「政治」が反映されている。 どのように相手をもてなすかには、簡単に言うとふたつの要素で決まります。ひとつは