トリパノソーマ (Trypanosoma) は、トリパノソーマ科に属する原生生物で、幅広い宿主に感染し、アフリカ睡眠病をはじめとするさまざまな病気(総称してトリパノソーマ症)を引き起こす。 名はギリシャ語で、τρυπανον「錐」+ σωμα「体」という意味で、コルク抜きのような形状・動きに由来する。マクムシという和名もあるが稀にしか用いられない。 トリパノソーマは二宿主性で、脊椎動物の血流中と吸血動物の腸管を主な寄生部位とする複雑な生活環を持っている。脊椎動物のほぼすべての綱でトリパノソーマの感染が報告されており、水中で生活する魚類・両生類・爬虫類を宿主とする種はヒルによって媒介され、一方陸上で生活する爬虫類・鳥類・哺乳類を宿主とする種は吸血性の節足動物によって媒介される。カエルの場合、幼生期が長い宿主にはヒルが、成体期が長い宿主には節足動物が媒介している。 トリパノソーマは宿主や寄生部