病気の自覚がなかったり、症状が慢性化したりしているのに医療につながりにくい精神疾患患者を抱えて苦しむ家族がいます。危機的な家庭からのSOSを受け、本人を説得して医療機関へとつなげてきた押川剛さんとともに、家庭内や地域でどのように対処すればよいかを探る連載2回目をお届けします。 20代半ばで「統合失調症」と診断 今回は北陸地方に住む50代のA男さんと、同居する70代の母親のケースである。家族へのヒアリングと視察調査で状況を把握した。2年前に他界した父親は公務員を勤め上げた真面目できちょうめんな人で、母親は長く専業主婦として家庭内を切り盛りしていた。A男さんには姉のB子さんがいるが、結婚を機に関西地方で暮らし、実家から足が遠のいていた。 A男さんは大学入学と同時に都内で1人暮らしを始め、卒業後は食品メーカーに就職した。しかし数年後、A男さんのマンションの管理人から両親に連絡が入った。A男さんが
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