人質になった被害者が犯人に好意を持つ「ストックホルム症候群」。ドラマのような話ですが、極限状態の中では誰に起こっても不思議なことではありません。支配的で強い相手に傷つけられるのを避けるための無意識の防衛反応、身近なところでは恋愛や親子関係でもみられます。 ◆銀行強盗で人質として捕えられ、監禁された複数の被害者が犯人グループに協力。さらに、被害者の少女が後に犯人の1人と結婚…。容易には信じられない話ですが、1973年にストックホルムで実際に起きた銀行強盗人質事件での出来事です。 ◆加害者と被害者が一定期間、閉鎖的な空間で過ごすような場合、被害者にはできるだけ危険を避け、生命を守ろうとする防衛反応が働きます。精神的には自分の生死を握る相手に対して、同情や好意、連帯意識などを含む依存的な感情を抱きやすく、この事件以降、こうした心理状態を「ストックホルム症候群」と呼ぶようになりました。 ◆病名をつ