AV女優の実態を描いた『名前のない女たち』シリーズ。最新刊『貧困AV譲の独白』では、「貧困」に焦点を当て、18人の女たちの壮絶な過去と現在を著している。本書のなかから一部を抜粋して公開する。 突然の電話 「私さ、元AV女優だけど。取材してもらいたいんだけどさ。暇なんだよね」 井上沙耶(仮名)という元AV女優から突然電話があった。2004~2005年に企画AV女優をしていたそうで、年齢は37歳。とにかく暇なので取材して欲しいという。 神奈川県某市に向かった。駅から徒歩15分ほど。言われた住所は古い住宅街で、築40年以上と思われる老朽した木造アパートがあった。一般的な所得があれば、決して住むことはない老朽住宅だ。 2004年といえばAV女優志願者が増え、スタート地点に立つまでの競争が始まっていた時期で、元AV女優ならばそれなりのスペックを持っているはず。引退後も水商売や風俗に流れれば、それなり