「休め!」の号令は今の時代に必要なのか 「腰を下ろして休め〜!」と、体育委員が声をかける。それに続いて全員が復唱したあと、「1、2、3!」と言いながらからだを折りたたんで三角座りをする。座り終えたタイミングを見計らって、教育実習生は話し始めた。 とある中学校での体育の授業風景である。 毎年この時期になると、教育実習中の学生を訪ねて中学や高校を訪問する。校長や教頭、指導担当教員にあいさつをするのが主たる目的なのだが、タイミングが合えば学生が行う実習を見学する。そのとき目にしたのが、この光景だった。 この学校では体育委員の号令に応じて整列する風習が続いているという。「回れ右」や「右向け、右」などに従って動く集団訓練は徐々に姿を消しつつある。そう伝え聞いて安心していた矢先、軍国主義を彷彿とさせる様をいざ目の当たりにして胸中は複雑になった。 学校体育の目標は、「心と体を一体としてとらえ、適切な運動