親が子供に関心を示さない「ネグレクト」は、暴力と違って周囲の目には見えづらい。精神保健福祉士の植原亮太さんは「親が無関心であっても最低限の食事は出され、学校にも通っているため、発見が遅れがちになる。しかし子供と会話すると、おかしいと思う部分が確実にある」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、植原亮太『ルポ 虐待サバイバー』(集英社新書)の一部を再編集したものです。 ■14歳の娘にまるで関心がない母親 次に紹介するのは、さらに目には見えにくい親の無関心の様子である。 「思春期のわがまま」と思われていた女子生徒が抱える心の傷を理解していく。 中学校の養護教諭である高畑先生から、相談を持ちかけられた。 鈴木香織さん(14歳)という中学2年生の女子生徒のことだった。彼女は、教室に入れないと訴えていて、一日の大半を保健室で過ごしていた。 ある日、授業中の教室に彼女の姿がなかった。探し回る