<研究の背景と経緯> 光で物質の性質をコントロールすることは、すでに社会で使われている重要な技術です。例えば、光を当てると物質が固まる光硬化樹脂は、1960年代から接着・封止・コーティングなどの幅広い用途で産業利用されています。これと対照的に、「光を当てると溶ける」物質は、これまでに記録材料などに使われており、近年では、光で剥がせる仮固定用の接着材料として応用が期待されています。 しかし、光で溶ける物質を「光で剥がすタイプの接着材料」として用いるには、以下の困難な諸要件を満たす高度な機能材料の開発が必要でした。すなわち、1)高温でも十分に高い接着力を示す、2)光照射によって接着力が大幅に減少する、3)少ない光量で迅速な剥離を達成できることです。仮固定用途に使われている従来の「熱で剥がすタイプの接着剤(ホットメルト型接着材料)」が使用できない高温でも仮固定接着が可能で、さまざまな製造工程への