大人の手形の内側に小さな手形がつけられている約8000年前の岩窟「ワディ・スーラ II」の壁。小さな手形は、非常に幼い子供か赤ん坊のものだと考えられていた。(Photograph by Emmanuelle Honoré) 2002年、ナイル川の西に広がるエジプトの西方砂漠で8000年前の洞窟遺跡「ワディ・スーラ II(フォギーニ・メスティカウィ)」が発見されたとき、研究者たちはその壁を埋め尽くすたくさんの岩絵に驚かされた。野生動物や人間、頭のない奇妙な生きものなどが描かれていたことから、この場所は「獣の洞窟(Cave of the Beasts)」と呼ばれるようになったが、その他にも何百という数の人間の手形も見られた。サハラ砂漠では、これほど多くの手形が付いた岩絵が発見されたのは初めてだった。 さらに例外的だったのが、13個の小さな手形だ。「ワディ・スーラ II」が発見される前まで、幼い