「ホンダらしさが感じられない」と言われて久しい。ところが、8月発売の意外な商品に「イズム」が宿っていた。被災地の声を拾った開発物語が、復活劇の幕開けとなるか。 8月上旬、一般家庭や飲食店などで利用されているLPガスのタンクで発電する「低圧LPガス発電機」が発売される。東日本大震災の被災者から、「LPガスのタンクが軒下に残っている。これを使って発電できないか」と問い合わせを受けて、開発された製品だ。 作ったのはホンダと矢崎総業。本体はホンダの汎用機部門が開発し、タンクとの接続部分などを矢崎総業が担当した。セット価格で23万790円になる。 「開発期間はこれまでの半分程度。発電機の技術はあったが、これほど早く発売できるとは考えていなかった」 担当した初谷勉・本田技術研究所汎用R&Dセンター第1開発室第1ブロック主任研究員は、そう振り返る。 2年前、ホンダは家庭用コンロに使うカセットガスを燃料に