〈出版文化どう守る・下〉「町の書店」に資本の波2008年3月7日大型店の廉価版コーナー。大型本が1000円程度で売られている=独ミュンヘンで ドイツ南部のミュンヘン。週末の土曜日、旅行書や地図の専門店「ゲオブーフ」は、数十人の客でにぎわっていた。貴重な地図の品ぞろえでは欧州有数。15人の店員は地理や天文学の豊富な知識を武器に、読者の要望に応える。 面倒見が良いドイツの伝統的な町の書店だが、ライナー・ミッヒェル店長の表情はさえない。一般向け旅行書の売り上げを、台頭する大型店に奪われ、01年から売り上げは2割減。書店員も10人減らした。「『日々の糧』になる一般書で経営を支えないと、年に1〜2枚しか売れないマッキンリーの地図が置けなくなる。こうやって文化の多様性が失われていく」 書籍の価格を拘束する再販制度を堅持し、効率的な流通システムを作り上げたドイツの出版界は、少部数でも息長く市場に生き続け