自主制作映画『あみこ』を引っ提げ、弱冠20歳で鮮烈な世界デビューを果たした山中瑶子監督。その待望の新作『ナミビアの砂漠』は、今年のカンヌ国際映画祭「監督週間」に正式招待され、女性監督として史上最年少で国際批評家連盟賞を受賞した。いま最も勢いのある女優、河合優実を主演に迎え、一人の女性の波打つ感情を多彩に描き込んだ唯一無二の快作だ。 必ずしも映画ファンとは限らない広い読者層を想定しながら映画の紹介をしている立場として、常々「これは観たほうがいい」などと差し出がましい言い方はしたくないと思っている。しかしこの『ナミビアの砂漠』はそう言うしかないと思わせてしまう作品だ。 それは、ここ何年かの日本社会とそこに暮らす日本人の姿を眺めながら、その間に世に出た数々の映画を観てきた中でこの作品に出会い、しみじみと沸いてきた感想だ。「それってあなたの感想ですよね?」と言われてしまいそうなので、そこを少しでも