日本では年間約10万人が「介護離職」に追い込まれている。離職すればは収入は激減する。たとえ介護が終わっても、正社員として復職できる人は、男性で3人に1人、女性で5人に1人だという。それでも離職してしまう人が後を絶たない。なぜそこまで追い込まれてしまうのか。多くの介護の現場を見てきたベテランのケアマネジャーに聞いた――。 年間の介護離職者は10万人で高止まりしている 7月13日に総務省が公表した就業構造基本調査によれば、2017年の「介護離職者」は9万9100人でした。この調査は5年おきに行われ、前回の2012年は10万1100人で、状況はほとんど改善されていません。 2015年9月、安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」の第2ステージとして「新・3本の矢」を掲げました。そのひとつは「介護離職ゼロ」。年間10万人が介護離職する現状を改善するため、介護施設の整備や人材育成に注力しようというわけ