太田省一(社会学者。著書に『紅白歌合戦と日本人』〔筑摩書房〕、『社会は笑う・増補版』〔青弓社〕など) 「ツ」と「シ」 「俺が本物だムニダ」と怪しい片言の韓国語を交えて主張する中居正広。いや、自分が本物のチョナン・カンだと言う香取慎吾。だがどこから来たのかと問われると香取はフィリピン、中居はソ連と答える始末。間に挟まれた当のチョナン・カン、草彅剛は困惑している様子だ。そうこうしているうちに、香取慎吾がチョナン・カンの持ち歌『愛の唄 ~チョンマル サランヘヨ~』を奇妙なテンションで歌い踊り始め、中居正広と草彅剛もつられて踊り始める。 これは2003年のSMAPコンサートツアー「SMAP’03“MIJ Tour”」の一場面である。実はこの3人は、SMAP内で結成されたお笑いユニットだ。その名も「スマシプ」。「ツ」ではなく「シ」である。紛らわしく一瞬見間違えてしまいそうだが、それには狙いがある。