京都大学経済学研究科東アジア経済研究センター ニュースレター 京大東アジアセンター News Letter 2015年2月2日発行 第555号 京都大学経済学研究科教授 堀 和生 東アジア地域における経済的連携と協力を阻む一つの大きな障害として、関係する各国民の歴史認識に大きな隔たりの存在がある。主に戦前における日本とアジアとの関係について、具体的には日本の植民地支配と戦争の問題である。すでに、戦後70年を経ているが、この歴史認識の対立と摩擦は間欠的に吹き出して、政治と経済に甚大な打撃をあたえる。第二次大戦後、ヨーロッパは類似の問題を何とか乗り越えてEU結成まで到達したが、東アジアでは今日まで解決できていない。今後も相互に理解しようとする努力なしには、自然に和解に向かうとは思われない。 歴史認識問題の解決の糸口は、単純ではあるが歴史的事実についての知識の共有であると考える。今回は、その代表