モチベーション科学で「予防焦点型」に分類される人は、慎重に仕事を進め、損失回避に努める。だがこれは、あくまで「平時での話」。恐ろしいことに、いざ危機や損失が発生すると、逆にリスクを厭わなくなるというのだ。危機管理への教訓となる研究結果を報告する。 人間は一般にリスクをあまり好まない。ノーベル賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンはこう書いている。「ほとんどの人は、150ドル獲得できるという期待よりも100ドルを失う恐怖のほうに強く心を動かされる。[エイモス・トベルスキーと私は]数多くの観察結果から、『損失は利得よりも大きく見える』ため、人間は損失を強く嫌うという結論に達した」 損失を嫌うという現象を裏付ける証拠はたくさん挙げられている。しかしカーネマン自身がこの傾向を説明するにあたって「ほとんどの人は」としており、「すべての人」とは言っていないことに注意しよう。コロンビア大学のトーリー・