パリのソムリエも絶賛する日本酒「獺祭(だっさい)」。高品質の大吟醸酒として国内外で人気が高まっている。まさに匠の技の極致だが、その酒蔵に杜氏の姿は無い──。匠頼りの製造現場の旧弊を改め、IT(情報技術)で匠の技術を極めれば可能性は無限だ。ITでグローバル競争に挑む先進企業の取り組みを2回に分けて紹介する。山口県岩国市の山間、半径5km以内に住む人はわずか250人。そんな過疎の集落に似つかわしく
【東大卒エリート記者が指折りの日本酒蔵元に】「米も酵母も秋田産」「添加物一切ナシ」の酒造りに込めた美学~新政酒造・佐藤祐輔氏~ 今のような日本酒ブームが起きる以前、国内アルコール消費量のうち日本酒の消費量がわずか7パーセントまで低迷した時期があった。「海外で賞を獲得した日本酒を逆輸入しないと、もはや日本では消費されない」と、どこの蔵元もワインを模したような薫る酒ばかりを造るようになっていた。バナナ香に、洋なし香…確かに乾杯酒にはおいしいけれど、和食と合わせるとどうも舌が疲れてしまう。そんな折、利き酒会へ出向き、ある蔵元の酒に舌を巻いた。それが秋田の「新政(あらまさ)」だ。 それまでの「新政」といえば、いわゆる“昭和の酒”である普通酒(※注1)ばかりを大量生産する地方の大手蔵というイメージが強く、全量純米の地酒を丁寧に造るイメージとは程遠かった。その「新政」が、“猫も杓子も薫酒の時代”にそっ
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