人工妊娠中絶の方法 日本で行われている人工妊娠中絶では、世界保健機関(WHO)が安全と勧めている「吸引法」は1割に過ぎず、事故が比較的起きやすい方法が8割を占めていた。神奈川県立保健福祉大などの調査でわかった。中絶に関連した深刻な事故は、この5年で72件あった。WHOが勧める中絶薬も認可されておらず、日本の女性は体への負担が軽い手法を選びにくい実態が浮かんだ。 妊娠初期の中絶法には、器具で胎児をかき出す「掻爬(そうは)法」や、金属棒で吸い取る「吸引法」がある。掻爬法は医師の技量が必要で、子宮に穴があいたり、腸を傷つけたりする事故が起きることがある。 日本学術振興会の研究で同大の杵淵(きねふち)恵美子教授(看護学)らが2010年、中絶手術ができる医師がいる932の医療機関を対象に行い、343施設から回答を得た。この結果、吸引法は11%だけで、掻爬法が35%、掻爬法と吸引法の組み合わせが